アトリビューション分析とは? 広告の隠れた貢献度を見える化し、予算を最適化する方法を解説

「SNS広告もリスティング広告もやってるけど、結局どれが一番売上に効いてるんだろう?」

「コンバージョン(成果)は出てるけど、最後のクリックだけじゃなくて、途中の施策もちゃんと評価したい…」

そんな悩みはありませんか?

Webマーケティングでは、ユーザーが商品やサービスを知ってから購入に至るまで、様々な広告やサイトに触れています。
しかし、多くの分析では「最後にクリックされた広告」だけが評価されがちです。

それだと、最初に商品を知るきっかけを作ったSNS広告や、比較検討で読まれたブログ記事の「縁の下の力持ち」的な貢献が見えません

この記事では、そんな「隠れた貢献」を明らかにするアトリビューション分析について、「どんな手法なのか?」「ビジネスにどう活かせるのか?」を分かりやすく解説します。

この記事を読めば、広告の『隠れた貢献』を見つける具体的な方法が分かり、広告予算配分の『納得感』が格段に高まります。

アトリビューション分析とは? 従来のラストクリック分析との違い

アトリビューション分析とは、
成果(コンバージョン)への貢献度を、関わった全てのチャネル(広告やサイト)に正しく割り振る」ための分析手法です。

「アトリビューション(Attribution)」は「起因する」「(〜の)おかげ」といった意味。つまり、「この売上は、どの施策のおかげ?」を分析するわけです。

従来の分析(ラストクリック)との違い

例えば、あるユーザーが商品Aを買うまでに、こんな道のりをたどったとします。

  1. SNS広告で商品Aを知る
  2. 数日後、検索エンジンで商品Aについて調べる
  3. さらに数日後、メルマガのクーポンを見てサイト訪問
  4. その日は買わずに離脱
  5. 翌日、ブックマークから直接サイトを訪問して購入(コンバージョン!)

従来の「ラストクリックモデル」という分析方法では、
成果に100%貢献したのは「5. ブックマークからの直接訪問」だけ、
と評価されてしまいます。

これだと、「1. SNS広告」や「3. メルマガ」が「売上に全然効いてないじゃん!」と誤解され、予算を削られてしまうかもしれません。

アトリビューション分析の考え方

アトリビューション分析では、1〜5の全ての接点(タッチポイント=広告やサイトなど、お客様が情報に触れた場所)が、何らかの形で成果に貢献したと考えます。

「SNS広告が認知させてくれたから検索してくれたんだ」
「メルマガのクーポンが背中を押してくれたんだ」
といった、途中の貢献も評価します。

どうやって貢献度を割り振るかには、いくつかの「モデル(ルール)」があります。

起点モデル(ファーストクリック)

最初に接触した「1. SNS広告」に100%貢献を割り当てる。認知施策の評価に使えます。

線形モデル

「1〜5」の全ての接点に、貢献度を均等に(この場合20%ずつ)割り当てる。

③減衰モデル

成果(購入)に近い接点ほど、貢献度を高く評価する。

データドリブンモデル (Google Analytics 4などで使われる)

過去のデータをAIが分析して、統計的に「最も妥当な貢献度」を自動で割り振る高度なモデル


どのモデルを使うかは目的によりますが、重要なのは「最後のクリック以外も評価する」という視点を持つことです。

アトリビューション分析の3つのメリット(活用事例)

では、この分析を導入すると、具体的にどんないいことがあるのでしょうか?

1. 広告予算を賢く最適化できる

アトリビューション分析で「実はSNS広告が、最終的な購入にめちゃくちゃ貢献していた」と分かれば、SNS広告の予算を減らすどころか、むしろ増やすべきだ、という判断ができます。

逆に、「ラストクリックでは評価されていたけど、実は他のチャネルの貢献度が高い」と分かれば、その広告予算を見直すきっかけになります。

「なんとなく」ではなく「データに基づいて」、効果の高いところに予算を集中投下できるようになります。

2. 各マーケティング施策の「役割」が分かり、改善できる

「SNS広告は『認知』に効いてるね」
「メルマガは『購入の後押し』に効いてるね」

このように、各チャネルがユーザーの購買プロセスのどの段階で役立っているか(=カスタマージャーニーにおける役割)が明確になります。

役割が分かれば、改善の方向性も見えてきます。

  • 認知に効くSNS広告は、もっと新しい人に届くような内容にする。
  • 後押しに効くメルマガは、クーポンの内容をもっと魅力的にする。

といった、施策の「質」を高めることにもつながります。

3. 「認知施策」の重要性を社内に説明できる

すぐに売上につながらない認知施策(例:ブランディング広告、オウンドメディアの運営)は、「それ、本当に意味あるの?」と社内で言われがちです。

アトリビューション分析を使えば、「この認知施策が、3ヶ月後の売上のこれだけ貢献している」とデータで貢献度を可視化できます。これにより、長期的な視点でのマーケティング活動の重要性を説明しやすくなります。

まとめ:アトリビューション分析で「ラストクリック依存」から脱却しよう

アトリビューション分析は、**「成果(売上)に至るまでの、全てのマーケティング活動の貢献度を正しく評価する」**ための強力な手法です。

この分析を導入することで、

  • 広告予算の最適化
  • 各施策の役割の明確化と改善
  • 認知施策などの間接的な貢献の可視化

といったメリットがあり、ビジネスの成長に大きく役立ちます。

「うちはGoogle Analyticsを使ってるけど、ラストクリックしか見てなかったかも…」という方は、ぜひ一度、アトリビューションのレポート(GA4では「広告」→「アトリビューション」)を覗いてみてください。

もし「データドリブンモデル」が選択できるなら、それと「ラストクリック」の成果を見比べるだけでも、新しい発見があるはずです。

参考資料

この記事を作成するにあたり、以下の情報を参照しました。

アトリビューションについて

“アトリビューション モデルとは、コンバージョンに至った広告の貢献度をコンバージョン経路のタッチポイントにどのように割り振るかを決めるルールまたはデータドリブン アルゴリズムのことです。”

出典:アナリティクス ヘルプ(Google)

URL: https://support.google.com/analytics/answer/9397590?hl=ja