「Webサイトの分析、GA4だけで十分?」「BigQueryとAIを使うと何ができるの?」
どちらもWebアクセス解析に欠かせないツールですが、得意なことや難易度がまったく違います。
今回は、GA4とBigQuery+AIの分析を徹底比較し、あなたのサイト運営に最適な方法を見つけるヒントをお伝えします!
目次
GA4とBigQuery+AI、一体何が違うの?
Webアクセス解析における、GA4とBigQuery+AIの大きな違いは以下の通りです。
GA4(Google Analytics 4) | BigQuery+AI | |
役割 | データ収集・基本的な分析 | データを活用した高度な分析・予測 |
得意なこと | ユーザーの行動把握、レポート作成 | 膨大なデータの深掘り、未来予測 |
データの形式 | イベントベースの統合データ | 生のローデータ(イベントログ) |
分析方法 | GUI(管理画面)での操作 | SQLクエリやプログラミング |
費用 | 無料(標準機能) | データ量・分析量に応じた従量課金 |
GA4は、Webサイトやアプリのユーザーが「いつ」「どこで」「何をしたか」というイベントベースのデータを集計し、管理画面でレポートとして見やすく表示してくれるツールです。日々の動向をチェックしたり、直感的にユーザー行動を把握したりするのに最適です。
一方、BigQuery+AIは、GA4からエクスポートした生のイベントデータを、データウェアハウス(データ専用の倉庫)であるBigQueryに溜め込み、AI(機械学習)を活用して分析を行う手法です。GA4では見ることができない、より深い分析や予測が可能になります。
難易度は?
GA4の難易度:★★☆☆☆(比較的簡単)
管理画面の操作が中心なので、専門的な知識がなくても、ある程度の分析は可能です。
ただし、「探索レポート」などを使えば、ある程度は自由に分析できますが、複雑な条件でのデータ抽出には限界があります。
BigQuery+AIの難易度:★★★★☆(やや難しい)
BigQueryを操作するには、**SQL(Structured Query Language)**というデータベースを操作する言語の知識が必須です。
さらにAIを活用するには、BigQuery MLという機能を使うか、Pythonなどのプログラミング言語と機械学習の知識が必要になります。
しかし、その分、GA4では不可能な高度な分析が可能となります。
こんなことができる!徹底比較事例
【GA4でできることの事例】
GA4は、主に過去のユーザー行動を把握・分析するのに向いています。
ユーザー行動フローの可視化: 例:「トップページ」→「サービス紹介」→「料金ページ」→「問い合わせ」といったユーザーの移動経路を視覚的に把握し、どの段階で離脱しているかを特定できます。
コンバージョン経路の分析: 例:「広告A」経由でサイトに流入後、「ブログ記事」を読み、「メルマガ登録」に繋がった、といった、コンバージョンに至るまでの行動を詳細に追跡できます。
イベント数の集計・分析: 例:「資料請求ボタン」がクリックされた回数、「動画が最後まで再生された回数」などを簡単に集計し、コンテンツのパフォーマンスを評価できます。
【BigQuery+AIでできることの事例】
BigQuery+AIは、GA4のデータをさらに深掘りし、未来を予測する高度な分析が可能です。
ユーザーの離脱予測: 例:ECサイトで「過去の購買履歴」「閲覧ページ」「サイト滞在時間」といったデータをAIに学習させ、「今後30日以内に購入する可能性が高いユーザー」や「離脱する可能性が高いユーザー」を予測し、個別にアプローチできます。
LTV(顧客生涯価値)の予測: 例:あるユーザーがサイトに初めて訪問した時点の行動データから、将来にわたってどれくらいの収益をサイトにもたらしてくれるかを予測し、広告費用を最適化できます。
ユーザーセグメントの自動生成: 例:AIが膨大なユーザーデータを自動的に分析し、「高頻度で購入するリピーター」「特定の商品にしか興味がないユーザー」など、GA4では見つけられない隠れた優良セグメントを自動的に見つけ出してくれます。
BigQuery+AIで失敗しないための3つのステップ
BigQuery+AIの活用は、明確な目的意識なしに始めると、時間とコストだけがかかり、成果に結びつかないというリスクがあります。
「データの羅列」で終わらせないために、以下の3つのステップを意識することが大切です。
ステップ1:小さな「問い」から始める
いきなり「AIで何か凄いことをする」と考えると、何から手をつけていいかわからなくなります。まずは、日々の業務で感じている小さな疑問を「問い」に変えてみましょう。
誤った問い:「サイトの全データを分析して、売上を上げたい」
正しい問い:「Webサイトにアクセスしたものの、予約に至らなかったユーザーの行動にはどんな共通点があるか?」
さらに良い問い:「その行動パターンを持つユーザーに、特別なお知らせをすることで予約が増えるか?」
このように、具体的な行動と結果が予測できる「問い」を設定することが重要です。
ステップ2:仮説を立てる
問いが見つかったら、次に「こうすればうまくいくのではないか」という仮説を立てます。これは、BigQueryで分析する方向性を決めるための地図のようなものです。
事例: 「予約に至らなかったユーザーは、料金ページを複数回見ている。これは、料金に不安を感じているからではないか?」 この仮説を検証するために、BigQueryで「料金ページを3回以上見たユーザー」の行動データを抽出してみます。
ステップ3:結果から次のアクションを決める
分析の結果、仮説が正しかった場合、次の具体的なアクションを決めます。
事例: 「料金ページを3回以上見たユーザーは、他のユーザーに比べて、予約に至る確率が1/100に下がっていた」という分析結果が出たとします。 この結果を元に、「料金ページを3回以上見たユーザーだけに、『料金の個別相談』を促す広告を表示する」という具体的な施策を実行します。
このサイクルを繰り返すことで、データは単なる羅列ではなく、「課題解決のための情報」へと変わっていきます。
BigQuery+AIは強力なツールですが、その力を引き出すのは、私たちの「問いを立てる力」と「仮説を立てる力」なのです。
まとめ
GA4は、誰でも手軽にWebサイトの状況を把握できる「日常の健康診断」のようなツールです。まずはGA4で日々のデータを確認し、改善点を見つけていくのがおすすめです。
一方で、BigQuery+AIは、より専門的な分析を通じて、サイトの「未来を予測」し、次のアクションを導き出すための「精密検査」のようなものです。
もし「もっと深い分析がしたい」「未来のユーザー行動を予測してマーケティング施策を最適化したい」という具体的な目的があるなら、BigQuery+AIの世界に踏み込んでみる価値は十分にあります。
参考資料
- Google Analytics 4 公式ヘルプセンター
- BigQuery ML 公式ドキュメント
- Google Cloud 公式ブログ(AIを活用した分析事例)