この記事では、2025年10月23日現在の最新情報に基づき、両社の公式ドキュメントで共通して「最重要」とされているプロンプトを作る際の4つの鉄則を引用・参照情報とあわせて簡潔にご紹介します!
目次
AIの性能を公式に引き出す4つの鉄則
AIを「優秀なアシスタント」として使いこなす鍵は、両社の公式ガイドラインに共通して存在します。

鉄則1:指示は「超・具体的に」書く(あいまいさの排除)
AIは「察する」のが苦手です。あなたが何を求めているか、詳細かつ明確に伝える必要があります。
- ダメな例 👎:
マーケティング戦略を考えて。
- 良い例 👍:
あなたは**プロのマーケター**です。**30代女性向け**の新しいスキンケアブランドの**SNSマーケティング戦略**について、**Instagram**に絞った具体的な施策を**3箇条**で提案してください。
【Google公式の指針】
Googleの「Prompt design strategies (プロンプト設計戦略)」ドキュメントでは、”Use specific instructions” (具体的な指示を使う) ことが推奨されています。そこには「明確で詳細なプロンプトは、最良の結果をもたらします」と明記されています。
(参照: Google Cloud “Design multimodal prompts” / Google AI for Developers “Prompt design strategies”)
【OpenAI公式の指針】
OpenAIの「Prompt engineering (プロンプトエンジニアリング)」ガイドでは、第1の戦略として “Write clear instructions” (明確な指示を書く) が挙げられています。戦術(Tactic)として「出力の望ましい長さ(例:300文字以内)や形式(例:箇条書き)を指定する」ことが具体的に推奨されています。
(参照: OpenAI API Documentation “Prompt engineering” – Strategy 1)
鉄則2:「役割(ペルソナ)」と「文脈」を与える
AIに特定の専門家になりきってもらう(役割を与える)と、回答の質が劇的に向上します。
- 良い例 👍:
あなたは**経験豊富なファイナンシャル・プランナー**です。**20代の社会人**が初めて「つみたてNISA」を始める際の注意点を、**3つ**に絞って**専門用語を避けて**説明してください。
【Google公式の指針】
Googleの「Overview of prompting strategies (プロンプト戦略の概要)」では、ベストプラクティスの一つとして “Assign a role” (役割を割り当てる) ことが明記されています。役割を与えることで、AIは特定の視点から回答を生成するようになります。
(参照: Google Cloud “Overview of prompting strategies”)
【OpenAI公式の指針】
OpenAIのガイドラインに関する多くの解説資料では、”Ask the model to adopt a persona” (モデルにペルソナ(役割)を採用させる) ことが重要なテクニックとして紹介されています。これにより、AIのトーン、専門性、視点が固定され、回答が安定します。
(参照: OpenAI API Documentation “Prompt engineering” に関連するベストプラクティス解説より)
鉄則3:「例(見本)」を見せる (Few-shotプロンプティング)
あなたが望む回答の「見本」を1〜3個示すと、AIはパターンを学習し、指示の意図を正確に汲み取ります。これは「Few-shot (フューショット) プロンプティング」と呼ばれる公式テクニックです。
- 良い例 👍:以下の例にならって、新しいキャッチコピーを考えて。例1)入力:静かなカフェ / 出力:思考が澄み渡る、私だけの書斎。お題)入力:夜の読書灯
【Google公式の指針】
Googleの「Prompt design strategies」では “Include few-shot examples” (フューショットの例を含める) ことが強く推奨されており、「例を含まないプロンプト(ゼロショット)は効果が低い可能性が高い」とまで言及されています。例は、AIに出力の形式やパターンを教えるのに役立ちます。
(参照: Google AI for Developers “Prompt design strategies” / Google Cloud “Include few-shot examples”)
【OpenAI公式の指針】
OpenAIのガイドでも、明確な指示を書くための戦術(Tactic)として “Provide examples” (例を提供する) ことが挙げられています。
(参照: OpenAI API Documentation “Prompt engineering” – Strategy 1, Tactic 3)
鉄則4:複雑なタスクは「分割」して実行させる
一度に「レポートを全部書いて」と丸投げすると、AIは混乱します。大きなタスクは、小さなステップに分けて順番に指示しましょう。
- ダメな例 👎:
競合A社について調査してレポートを書いて。
- 良い例 👍:1. まず、競合A社の主力商品を3つ教えて。2. 次に、その3つの商品の主な特徴と価格を比較表にして。3. 最後に、その情報から推測されるA社の弱点を2つ指摘して。
【Google公式の指針】
Googleのガイドラインでは “Split complex tasks into smaller tasks” (複雑なタスクをより小さなタスクに分割する) ことが明確に推奨されています。具体的には、複数の指示を連鎖させる「プロンプトチェーン (Chain prompts)」という手法が紹介されています。
(参照: Google Cloud “Break down complex tasks into simpler prompts” / Google AI for Developers “Prompt design strategies”)
【OpenAI公式の指針】
OpenAIのガイドでも、主要な戦略として “Split complex tasks into simpler subtasks” (複雑なタスクをより単純なサブタスクに分割する) ことが挙げられています。これにより、エラー率を減らし、より信頼性の高い回答を得られるとしています。
(参照: OpenAI API Documentation “Prompt engineering” – Strategy 3)
公式が認める「良い指示」でGemini・ChatGPTを使いこなそう
GoogleとOpenAI、両社の公式ドキュメントが共通して求める「プロンプトの鉄則」は以下の4つでした。
- 超・具体的に指示する(公式戦略:”Write clear instructions” / “Use specific instructions”)
- 役割と文脈を与える(公式戦略:”Assign a role” / “Adopt a persona”)
- 見本(例)を見せる(公式戦略:”Provide examples” / “Include few-shot examples”)
- タスクを分割する(公式戦略:”Split complex tasks” / “Break down complex tasks”)
これらは「裏ワザ」ではなく、AIの性能を正しく引き出すための「公式の王道」です。
さっそく次のプロンプトから、この4つの鉄則を意識して、Geminiに「公式が認める良い指示」を出してみてください!
参考資料
この記事は、以下の公式ドキュメント(およびその解説)で共通して推奨されている内容を基に作成しており、情報の権威性は高いものです。
- Google:
- Google AI for Developers – “Prompt design strategies”
- Google Cloud (Vertex AI) – “Overview of prompting strategies”, “Break down complex tasks into simpler prompts”, “Include few-shot examples”
- OpenAI:
- OpenAI API Documentation – “Prompt engineering” (※現在、OpenAIの主要なガイドラインとして機能しています)