AIが記事を無断利用するってどういうこと?〜パープレキシティ訴訟から学ぶ著作権〜

AI事業者に計44億円の賠償請求 生成AI検索サービスで記事無断利用され著作権侵害と主張 東京地裁

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「AIが記事をパクるって聞くけど、一体何が問題なの?」
「読売新聞がAIを訴えたってニュースを見たけど、具体的に何が起きてるの?」

今回は、読売新聞とAIツール「パープレキシティ」の間で起きている裁判を例に、AIと著作権の難しい関係について、専門知識がなくてもわかるようにやさしく解説します。


パープレキシティ訴訟事件の核心:何が問題になっているのか?

まず、今回の訴訟の主役である「パープレキシティ」について簡単に説明します。

パープレキシティは、まるで人間のように自然な文章で質問に答えてくれるAIツールです。インターネット上の情報を集めて、その要点をまとめてくれる機能が特徴です。
しかし、この「要点をまとめる」という行為が、今回の訴訟の大きな争点となっています。

パープレキシティ=> https://www.perplexity.ai/

訴訟のポイント1:記事の「無断利用」

パープレキシティは、読売新聞の記事を参考に回答を作成していました。

その際、読売新聞の許可なく記事の内容を要約したり、引用したりしていました。読売新聞側はこれを「著作権侵害」だと主張しています。

著作権とは、小説や音楽、写真など、創作物を守るための権利のことで、法律で「これは作った人のものですよ」と認められているものです。

読売新聞の記事も、取材や執筆に多くの時間と労力がかけられており、当然著作権で守られています。

訴訟のポイント2:出典の「不十分さ」

パープレキシティは、回答の最後に参考にしたウェブサイトのリンクを記載することがあります。

しかし、今回の訴訟では、パープレキシティが読売新聞の記事の要約を掲載したにもかかわらず、その出典を明記していなかったり、不十分だったりすることが問題視されています。

本来、他人の著作物を利用する際には、どこから情報を得たのかを明確にすることが重要です。

出典を明らかにしないことは、その情報がまるでAI自身が作成したものであるかのように見せてしまうため、誤解を招く可能性があります。

なぜ多額の賠償金が請求されているの?

読売新聞は、今回の訴訟で約21億6800万円という巨額の賠償金を請求しています。

この金額は、記事が無断利用されたことによる損害だけでなく、今後のAIの利用を抑止する目的も含まれていると考えられます。

もし、AIが自由に他社の記事を利用できるようになると、真面目に取材して記事を作成している新聞社や出版社は、その努力が報われなくなってしまいます。

それは、世の中に質の高い情報が流通しなくなることにつながり、ひいては社会全体の損失になりかねません。

読売新聞は、そうした問題提起も含めて、今回の訴訟に踏み切ったと言えるでしょう。


この事件から学ぶ、AIとのお付き合いの仕方

今回の訴訟は、私たちにとって他人事ではありません

AIツールは非常に便利ですが、使い方を間違えると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

AIの回答を使う際に気をつけるべきこと

  • 鵜呑みにしない
    AIの回答は、あくまでインターネット上の情報をまとめたものです。必ずしもすべてが正しいとは限りません。特に、専門的な情報や最新の情報については、必ず複数の情報源で確認する習慣をつけましょう。
  • 出典を確認する
    AIが提示した出典リンクは、必ずクリックして元の記事を確認しましょう。元の記事を読むことで、AIの要約が正確か、情報が古くないかなどをチェックできます。
  • 「盗用」に注意
    AIの回答をそのまま自分の文章として利用することは、著作権侵害にあたる可能性があります。AIはあくまで情報収集の補助ツールとして活用し、得られた情報を参考にしながら、自分の言葉で文章を作成することが大切です。

まとめ:AIは賢いパートナー、でも「使う側の責任」を忘れずに

パープレキシティ訴訟は、AIが進化する現代において、著作権というルールをどのように適用していくか、私たちに大きな問いを投げかけています。

AIは、私たちの生活を豊かにしてくれる便利なツールです。しかし、その利用には常に「使う側の責任」が伴います。

今回の記事を参考に、AIと上手に付き合ってください。


参考資料