社内の情報を守りつつ安全にAI[Gemini]を活用する方法

2025年6月8日

前提:Geminiに入力されたデータが許可なく外部に漏洩したり、他の用途で利用されたりすることはありません。

Geminiのデータセキュリティが強固であるとはいえ、社内の情報管理ルールに沿って適切に利用することが非常に重要です。

特に、以下の点については、社内ルールを設け、従業員に周知徹底しましょう。

万が一外部に漏れた場合に企業に大きな損害を与える可能性のある情報は、Geminiに入力しない

顧客の個人情報、未公開の新製品情報、財務情報、営業秘密など、万が一外部に漏れた場合に企業に大きな損害を与える可能性のある情報は、Geminiに入力しない。

Geminiは入力された情報を他の用途で利用しないにも関わらず、このルールが必要な根拠は以下の4つです。

根拠①:偶発的な情報漏洩のリスクを最小限にするため

どんなに強固なセキュリティシステムも、100%完璧なものはありません。

例えば、従業員が誤って機密情報を公開設定のチャットにコピー&ペーストしてしまったり、特定のプロンプトの記述ミスによって意図しない形で情報が外部に漏洩する可能性はゼロではありません。

このような偶発的なヒューマンエラーによるリスクを未然に防ぐために、特に機密性の高い情報の入力を禁止するルールは非常に有効です。

根拠②:法的な責任や社会的な信用失墜を防ぐため

もし顧客の個人情報が漏洩した場合、企業は個人情報保護法などの法令違反に問われ、多額の損害賠償責任を負う可能性があります。

また、未公開の新製品情報や営業秘密が漏洩すれば、競争優位性を失い、企業の存続にも関わる事態になりかねません。

このような事態は、企業の社会的な信用を失墜させ、顧客離れや株価の下落に直結します。

こうしたリスクを回避するために、事前にリスクの高い情報の入力を禁止するルールが必要です。

根拠③:従業員のセキュリティ意識を高めるため

明確なルールを設けることで、従業員は「この情報は入力してはいけない」という意識を持つようになります。

これは、Geminiに限らず、他のクラウドサービスや情報共有ツールを利用する際にも応用できる、従業員全体のセキュリティリテラシー向上に繋がります。

セキュリティは、個人の意識と行動にかかっている部分が大きいため、ルール化による意識づけは非常に重要です。

根拠④:AIモデルの「ハルシネーション(誤情報生成)」リスクを回避するため

生成AIは、時に「ハルシネーション」と呼ばれる、もっともらしいが事実ではない情報(誤情報)を生成することがあります

もし機密性の高い情報を含むプロンプトが原因で、Geminiが事実とは異なる情報を生成し、それが社内外で共有されてしまった場合、企業に誤った判断をさせたり、混乱を招いたりする可能性があります。機密情報を入力しないことで、こうしたハルシネーションによるリスクも軽減できます。

Gemini利用時の4つの情報セキュリティ対策

上記を踏まえ、以下の活用方法と注意点も実践していきましょう。

対策①:抽象化・一般化して活用する

具体例:

企画書作成でGeminiを活用したい場合でも、具体的な会社名や製品名を入力するのではなく、

「SaaS企業のマーケティング戦略について、競合優位性を出すためのアイデアを複数提案してください」

といった形で、情報を抽象化して質問します。

これにより、具体的な機密情報を入力することなく、Geminiのアイデア出しの能力を最大限に活用できます。

対策②:テンプレート作成やアイデア出しに限定的に利用する

具体例:

報告書作成のテンプレート作成プロンプト
「週次報告書のテンプレートを、プロジェクト進捗、課題、次週の予定の3つの項目で作成してください」

ブレインストーミングの補助プロンプト
「新しい顧客獲得のためのオンライン施策について、5つアイデアを出してください」

文章の要約や推敲プロンプト
「この会議議事録を500字程度に要約してください」

ブレインストーミングの補助プロンプト
「新しい顧客獲得のためのオンライン施策について、5つアイデアを出してください」

対策③:社内ガイドラインの策定と従業員への教育

Geminiに限らず、AIツールを業務で利用する際の社内ガイドラインを策定し、従業員に対して定期的な教育を行いましょう。

どのような情報を入力して良いか、どのような情報を避けるべきか具体的な事例を交えて説明することで、従業員のリテラシー向上にも繋がります。

対策④:責任共有モデルを理解する

Google Cloudのサービスでは「責任共有モデル」という考え方があります。

引用元:Google Cloud のセキュリティの概要

これは、クラウドサービスのセキュリティにおいて、Google(クラウドプロバイダ)とユーザー(利用者)のそれぞれが果たすべき責任範囲を明確にするものです。

Geminiの場合、基盤となるインフラのセキュリティはGoogleが責任を持ちますが、ユーザーが入力するデータの内容や、そのデータの利用方法に関してはユーザー自身が責任を持つことになります。

この点を理解し、適切な情報管理を行うことが重要です。