「AIが本格的に普及したら、WEBマーケターは何から仕事を奪われるのか?」と不安に感じる人もいるかもしれません。
結論から言うと、最初に仕事が減りやすいのは、言われたことを正確にこなすだけのスキルです。
広告設定、サイト編集、バナー制作、コーディングなどの作業そのものが不要になるわけではありません。
しかし、指示を受けて手を動かすだけの役割は、AIによって速く・安く・一定品質で代替されやすくなっています。
これから価値が高まるのは、AIに仕事を渡す前後で必要になる、人との対話や一次情報の収集、課題の整理を担える人です。
最初に代替されやすいのは「指示待ちの実行作業」

WEBマーケティングには、細かな実務が数多くあります。たとえば広告運用なら、「このターゲットに、この予算で、この広告を配信してください」と言われて設定する仕事があります。
Webサイトの編集でも、「この文章を差し替えてください」「このページにボタンを追加してください」と依頼された内容を、そのまま反映する仕事があります。
こうした仕事は大切です。ただし、目的や背景を考えず、決められた作業だけを行う状態では、AIや自動化ツールに置き換えられやすくなります。AIは、文章案の作成、画像案の生成、広告文の複数パターン作成、ページ構成のたたき台、コードの下書きなどを短時間で行えるためです。
「いい感じに作る」だけでも差別化しにくくなる

これまで評価されやすかった「いい感じのデザインを作れる」「それらしくコーディングできる」といった力も、今後はそれだけでは差別化しにくくなると考えられます。
もちろん、デザインや実装の専門性が不要になるわけではありません。ブランドらしさを設計する力、使いやすさを検証する力、複雑な技術要件を満たす力などは重要です。
一方で、依頼内容があいまいなまま「いい感じにお願いします」と受け取り、見た目だけを整える仕事は、AIが得意になりやすい領域です。AIは大量の案を出せるため、単に制作スピードだけで競争すると厳しくなりやすいでしょう。
これから求められるのは「人とAIの架け橋」になる力
AI時代のWEBマーケターにとって重要なのは、AIを使う技術だけではありません。むしろ、人から本音や現場の情報を引き出し、AIが活用できる形に整理する力が大きな価値になります。

お客さま自身も、課題を最初から明確な言葉で説明できるとは限りません。「問い合わせが少ない」「若い人にも知ってほしい」といった言葉の裏には、商品への思い、現場の強み、顧客からよく聞かれる悩みなど、外からは見えない情報があります。
こうした一次情報を、対話を通じて引き出せる人は代替されにくい存在です。一次情報とは、実際の顧客の声、営業や現場での体験、経営者の考え、独自の失敗談や成功事例など、その会社や人にしかない情報を指します。
人にしか集めにくい情報の例
- 経営者が事業を始めた理由
- 顧客が購入を決めた本当のきっかけ
- 営業担当者が現場でよく受ける質問
- 商品開発で苦労した点や、あえてこだわっている点
- 競合他社にはない、社内独自の判断基準
AIは、与えられた情報をもとに整理・生成することは得意です。しかし、信頼関係をつくり、相手も気づいていない本音を引き出すことは、一般的には人の強みとして残りやすい部分です。
AIに任せる前に「何を考えるべきか」を決める
AIを使いこなす人は、単にプロンプトを書く人ではありません。プロンプトとは、AIに渡す指示文のことです。良い指示を出すには、先に目的や対象者、伝えるべき価値を整理しておく必要があります。

たとえば「広告文を10案作って」とAIに頼む前に、次のような点を考えられるWEBマーケターは強いでしょう。
- 誰に届けたいのか
- その人は今、何に困っているのか
- 商品やサービスのどの価値を伝えるべきか
- 競合ではなく自社が選ばれる理由は何か
- 広告を見た人に、次にどんな行動をしてほしいのか
この整理ができて初めて、AIの出力の質も上がります。AIは答えを出す道具ですが、「何を問うべきか」「どの答えを採用すべきか」まで自動で決めてくれるわけではありません。
WEBマーケターが今から伸ばしたい3つの力

1. ヒアリング力
依頼された作業を受け取るだけでなく、「なぜそれをしたいのですか」「誰に届けば成功ですか」「過去にうまくいった例はありますか」と質問する力です。相手の言葉を深掘りし、課題の本質を見つける姿勢が重要です。
2. 言語化・構造化する力
会話で得た情報を、誰が読んでも理解できる形にまとめる力です。顧客の声を広告文、記事、LP、営業資料、SNS投稿などに落とし込める人は、AIとの協業でも中心的な役割を担いやすくなります。
3. 判断する力
AIは複数の案を出せますが、事業に合う案を選び、必要なら修正し、結果から改善するのは人の役割です。「アクセス数は増えたが問い合わせにつながらない」「反応は良いがブランドイメージに合わない」といった判断には、事業理解と責任感が必要です。
作業者から「成果を一緒につくる人」へ

これからのWEBマーケターは、「この作業をできます」と言うだけではなく、「この会社の強みを引き出し、顧客に伝わる形にし、成果につながるよう改善できます」と言える存在を目指すことが大切です。
AIによって作業の一部が減ることは、必ずしも悪いことではありません。定型作業をAIに任せられれば、人は顧客との対話、戦略づくり、企画、検証といった、より本質的な仕事に時間を使えます。
まとめ

AI時代に最初に仕事が減りやすいのは、広告設定やWeb編集などを、指示どおりに処理するだけのスキルです。デザインやコーディングも、作業だけで価値を示すことは以前より難しくなる可能性があります。
一方で、顧客と信頼関係をつくり、一次情報を引き出し、それを分かりやすく言葉にしてAIやデジタル施策へつなぐ力は、これからますます重要になります。
「言われたことをやる人」から、「何をやるべきかを一緒に見つけ、AIも使って成果に変える人」へ。この視点でスキルを磨くことが、AI時代のWEBマーケターにとって大きな強みになるはずです。
