「GA4の管理画面、正直使いづらい…」
もしあなたがそう感じているなら、この記事はあなたのためのものです。
実は今、「GA4の生データ」×「BigQuery」×「Gemini」を組み合わせることで、まるでチャットするように高度な分析ができるようになっています。しかも、多くのサイトではほぼ無料で始められることをご存知でしょうか?
この記事では、動画で解説されていた最新手法をベースに、エンジニアでなくてもできる「最強の分析環境」の作り方を、ステップバイステップで解説します。
目次
1. なぜ「GA4管理画面」だけではダメなのか?
まず、なぜ多くのマーケターがBigQueryへ移行しているのか、その決定的な理由を整理しましょう。
| 特徴 | GA4管理画面 (標準) | BigQuery (生データ) |
| データの正確性 | サンプリング(間引き)あり ※データ量が多いと推定値になる | 全量データ (Raw Data) ※1件1件の行動が正確に残る |
| 分析の自由度 | 用意されたレポートが中心 | 自由自在 (ユーザー単位の追跡、外部データ結合など) |
| 保存期間 | 最長14ヶ月 (標準) | ほぼ無期限 (設定次第) |
| 難易度 | 初級〜中級 | 上級 (SQLが必要)…でした |
ここが重要です:
これまでは「SQLが書けない」という壁がBigQueryの導入を阻んでいました。しかし、Gemini(AI)が登場したことで、その壁が消滅しました。
「先月のコンバージョンユーザーの平均滞在時間を教えて」とGeminiに聞くだけで、分析が完了する時代の到来です。
2. 費用はどれくらい?「ほぼ無料」のカラクリ
「BigQueryって従量課金だから怖い…」というイメージ、ありますよね。しかし、Google Cloudには太っ腹な「無料枠(Sandbox)」が存在します。
一般的なWebサイトなら無料枠で収まる理由
BigQueryには以下の無料枠が毎月付与されます。
- ストレージ(保存):毎月 10GB まで無料
- → テキストデータであるGA4のログなら、数百万イベント分が収まります。
- クエリ(分析):毎月 1TB まで無料
- → 効率的なクエリを書けば、毎日分析しても使い切るのは難しい量です。
結論:
月間数万〜数十万PVレベルのサイトであれば、クレジットカード登録不要の「Sandbox環境」を活用することで、完全無料、あるいは月額数円〜数百円で運用可能です。
※ただし、万が一のために予算アラートの設定は推奨されます。
3. 具体的な実践ステップ(3段階)
それでは、実際に環境を構築し、Geminiで分析する手順を見ていきましょう。
STEP 1:BigQueryのプロジェクトを作成(Sandbox)
- Google Cloud Consoleにアクセス。
- 「プロジェクトの作成」から新規プロジェクトを作成(例:
ga4-analysis-2025)。 - 重要: 支払い情報を登録せずに進めれば、自動的に「Sandbox(無料枠)」が適用されます。
※「Sandbox(無料枠)」の場合、貯めたデータが一定期間で消えてしまいますので支払いさきを登録しましょう。
STEP 2:GA4とBigQueryをリンクする
- GA4の「管理」→「BigQueryのリンク」を選択。
- 「リンク」をクリックし、先ほど作ったプロジェクトを選択。
- データロケーション: 東京(asia-northeast1)を選択
※後から変更不可で、しかもロケーション間のデータ移動や結合ができないことが多いですので、なるべく同じよロケーションを選択しましょう。 - 頻度: 「毎日(Daily)」を選択して保存。
- Tips: 「ストリーミング」は即時反映されますが、データ量が読めず有料(少額)になるケースがあるため、まずは「毎日」がおすすめです。
STEP 3:Geminiに分析を依頼する(ここが最新!)
データが溜まったら(設定の翌日から蓄積開始)、いよいよ分析です。ここでは「Gemini in BigQuery」*活用します。
- BigQueryのクエリエディタを開きます。
- 右上の「Gemini」アイコン、またはエディタ内のペンアイコンをクリック。
- 以下のように日本語で指示を出します。
プロンプト(指示)の例:
「データセット『analytics_xxxx』から、過去30日間に特定のランディングページ(/lp/summer-sale/)から流入し、かつ『purchase』イベントに至ったユーザーの数と、そのユーザーごとの平均購入金額(LTV)を集計するSQLを書いてください。」
- Geminiが数秒でSQLコードを生成します。
- 「実行」ボタンを押すだけで、結果が表示されます。
4. Gemini分析で何が見える?(具体例)
この環境があれば、GA4の画面では出せない「深いインサイト」が得られます。
- 「迷って買わなかった人」の特定
- カートには入れたけれど、決済エラー画面を見たユーザーのリスト抽出。
- 本当のロイヤルユーザー分析
- 「週に3回以上訪問」し、かつ「特定カテゴリの記事を読んでいる」ユーザーの行動パターンの可視化。
- キャンペーン効果の正確な検証
- アトリビューション(成果の配分)を自由に定義して、広告の本当の効果を測定。
まとめ:今すぐやるべき「たった1つ」のこと
技術的な話が多くなりましたが、要点は一つです。
「今すぐ連携ボタンを押しておきましょう」
BigQueryへのデータ連携は、「設定した翌日」からのデータしか蓄積されません。 過去のデータは二度と戻ってこないのです。
分析をするのは1年後でも構いません。「とりあえずデータだけ貯めておく」。これだけで、将来の分析の選択肢が劇的に広がります。コストもほぼかかりません。まずは連携設定だけでも済ませておくことを強くおすすめします。
参考資料・出典
- [Google アナリティクス 4 プロパティの BigQuery Export]
- サイト名:アナリティクス ヘルプ
- URL: https://support.google.com/analytics/answer/9358801?hl=ja
- [BigQuery の料金(無料枠について)]
- サイト名:Google Cloud
- URL: https://cloud.google.com/bigquery/pricing?hl=ja
- [Gemini in BigQuery の概要]
- サイト名:Google Cloud
- URL: https://cloud.google.com/bigquery/docs/gemini-in-bigquery-overview?hl=ja
※本記事は2025年時点の情報を元に作成しています。詳細な仕様変更はGoogle公式ドキュメントをご確認ください。
