店舗や施設の運営において、Googleマップ上の口コミ(レビュー)は顧客の声を把握するための重要なデータ源です。「口コミの内容や評価を自動で収集して分析したい」と考えたとき、真っ先に候補に挙がるのが Google Places API などの公式APIの活用です。
APIを活用すれば、口コミテキスト、星の評価、投稿言語、投稿日時などのデータをプログラムで自動的に取得することが可能になります。しかし、Googleの地図データ利用には非常に厳格な規約が存在し、知らずに利用すると規約違反になってしまうケースも少なくありません。
この記事では、Google Places APIなどを使って口コミデータを取得する技術的な仕組みと、開発前に必ず理解しておくべき「やってはいけないこと」について解説します。
Google Places APIで取得できる口コミデータ
Google Maps Platformが提供する Places API (New) の「Place Details」機能を使用すると、特定の場所に関する詳細な情報を取得できます。

具体的には、以下のような口コミ関連データへのアクセスが可能です。
- 口コミテキスト: ユーザーが投稿した感想の本文
- 星の評価: 1〜5段階のスコア
- 投稿日時: レビューが投稿された正確な時間
- 投稿言語: 投稿に使用された言語コード
- 投稿者情報: ユーザー名やプロフィール写真のURL(一部制限あり)
これらのデータはJSON形式で返されるため、プログラムでの処理やアプリへの表示に適しています。
技術的なポイント:FieldMaskによるコスト管理
APIを利用する際、技術的に最も重要なのが FieldMask(フィールドマスク) の指定です。
Places API (New) では、リクエスト時に「どの情報が欲しいか」を明示的に指定する必要があります。
これを指定しないとエラーになったり、不要なデータまで取得して高額な料金が発生したりする可能性があります。

なぜFieldMaskが重要なのか
Google Maps Platformの課金体系は、取得するデータの種類(SKU)によって異なります。
- Basic Data: 住所や場所の名前など(比較的安価)
- Enterprise + Atmosphere: 口コミや「雰囲気」などの詳細データ(比較的高価)
口コミデータは高額なカテゴリに含まれるため、fields=id,displayName,reviews のように必要なフィールドだけを厳密に指定することで、API利用料の無駄を防ぐことができます。
自社店舗なら「Google Business Profile API」
もし、あなたが管理権限を持っている「自社の店舗」や「管理している施設」の口コミを取得したい場合は、Places APIではなく Google Business Profile API の利用を検討してください。

このAPIには以下のメリットがあります。
- 口コミへの返信が可能: 取得するだけでなく、プログラムから返信を投稿できます。
- 一括管理: 複数の店舗(ロケーション)の口コミをバッチ処理で取得できます。
一般公開されている他店の情報を取得したい場合はPlaces API、自店を管理したい場合はBusiness Profile APIという使い分けが基本です。
【最重要】開発前に知っておくべき利用規約と制限
「データを自動取得できる」ことと、「そのデータを自由に使える」ことは別問題です。
Google Maps Platformの利用規約には、データの取り扱いに関して厳しい制限があります。

特に以下の点には注意が必要です。
1. データの「保存」は原則禁止

取得した口コミデータを自社のデータベースに永続的に保存(蓄積)することは、規約で原則として禁止されています(「キャッシュ」に関する特定の例外を除く)。
「一度取得してDBに保存し、あとで分析する」という一般的なシステム設計は、Googleマップのデータに関しては規約違反となる可能性が高いため、利用規約の「キャッシュ保存の制限」項目を熟読する必要があります。
2. AI・機械学習への利用禁止

近年増えているニーズですが、取得した口コミデータをAI(人工知能)や機械学習モデルのトレーニングに使用することは明確に禁止されています。
ChatGPTのようなLLMに読み込ませて学習データとして利用することはできません。
3. スクレイピングの禁止

APIを使わずに、Web上のGoogleマップの画面からHTMLを解析してデータを取得する行為(スクレイピング)は厳禁です。
スクレイピングを行うと、法的な措置やIPアドレスのブロックなどのペナルティを受ける可能性があります。
必ず公式APIを使用してください。
まとめ

Google Places APIなどを活用すれば、各店舗の口コミテキストや評価、投稿日時などを技術的に自動取得することは可能です。
FieldMaskを適切に設定することで、コストを抑えながら必要な情報を得ることができます。
しかし、取得したデータの「保存」や「AI学習への利用」には厳しい制限があります。
開発を行う際は、技術的な実装だけでなく、Google Maps Platformの利用規約を必ず確認し、コンプライアンスを遵守した設計を行うようにしましょう。
Google Maps Platform に関するよくある質問
