AIを使って画像や動画を作るのが当たり前になってきた今、「これをそのままネットに載せて大丈夫かな?」と不安になることはありませんか?
結論から言うと、2026年8月からEU(欧州連合)で「AIで作ったものには『AI製』だとわかる印(透かし)を入れなさい」という厳しいルールが本格的に始まります。
「海外の話でしょ?」と油断は禁物。インターネットに国境はありません。
今回は、私たち一般ユーザーや中小企業が知っておくべき対策をわかりやすく解説します!
1. 知っておきたい「透明性の義務」とは?
EUの「AI法(AI Act)」では、AIで作られたコンテンツによる混乱を防ぐため、「これはAIが作りました」とわかるようにする義務(透明性の義務)が定められました。
具体的には、以下の2つがポイントです。
- ウォーターマーク(電子透かし):
画像や動画のデータの中に、AI製であることを示す「機械が読み取れる印」を埋め込むこと。 - ラベル表示: 見た瞬間に「これはAIで作られました」とわかるテキストなどを表示すること。
もしこれに違反して、悪意のあるフェイク情報を流したと判断されると、最大1,500万ユーロ(約25億円)、または全世界の年間売上高の3%という、とんでもない額の制裁金が課される可能性があります。
2. 一般ユーザー・中小企業ができる3つの対策
「そんな大金払えない!」と怖がる必要はありません。中小企業やスタートアップには、その規模に応じた配慮がなされる仕組みになっています。私たちが今からできる対策はシンプルです。
① AIツールの設定を確認する
現在使っている生成AI(画像・動画生成など)の設定を見てみましょう。
最近の主要なツールは、自動で「メタデータ(データの裏側の情報)」にAI製であることを記録するようになっています。
「透かしを消す」という加工は、今後は「禁止事項」になるので、そのままの状態(ウォーターマークが入った状態)で公開するのが一番安全で望ましい形です。
② ディープフェイクには必ず注釈を
実在の人物に似せた画像や、本物そっくりの動画(ディープフェイク)を公開する場合は、必ず「これは人工的に生成されたものです」と明記してください。これを怠ると、規制の対象になりやすいです。
③ 「AIで作った」ことを隠さない文化を作る
これからは「AIで作ったことを隠す」のではなく、「AIを活用して良いものを作った」とオープンにする姿勢が求められます。自社のSNSやブログでAI画像を使う際は、「Image generated by AI」といった一筆を添える癖をつけておくと安心です。
3. 文章(テキスト)はどうなるの?
今のところ、画像や動画、音声ほどの厳しい「透かし」義務は文章には課されていません。
ただし、公共の利益に関わる情報を大量に発信するシステムなどの場合は、AI生成であることを開示する義務が出てきます。
ブログ記事や広報資料についても、読者の信頼を損なわないよう「AIを補助的に使用しました」と記載する流れが、今後一般的になっていくでしょう。
まとめ:正しく恐れて、正しく使おう!

EU AI法は2026年8月から本格的に適用されます。今のうちから以下の3点を意識しておきましょう。
- AI生成物の「透かし」や「ラベル」は消さない、隠さない。
- AIツールの最新のアップデート情報をチェックし、法規制に対応したものを選ぶ。
- 特にディープフェイク(画像・動画)の取り扱いには細心の注意を払う。
今のうちから「透明性」を意識した運用を始めて、安全にAIを活用していきましょう!
参考資料
この記事は、欧州連合(EU)の公式情報および信頼性の高い法務情報を元に作成しています。
- 欧州委員会 (European Commission): AI法の概要とデジタルサービス法(DSA)の執行について
- EU AI Act 専門サイト: 透明性義務(第50条)と制裁金に関する詳細
- 国際法曹協会 (IBA): AI法による制裁金のリスクと企業への影響
- 法務・技術ニュース: DLA Piper等によるAI法コンプライアンス解説
