「人物はいい感じなのに背景が違う」「構図や雰囲気が思い通りにならない」と感じるなら、単語をむやみに増やすよりも、画像に必要な要素を優先順に整理して伝えることが大切です。
結論からいうと、プロンプトは主役→見た目→動き→場所→構図→光→画風→仕上がり条件の順で組み立てると、イメージを伝えやすくなります。さらに、使っている画像生成AIが対応していれば、ネガティブプロンプトで「出してほしくないもの」を絞り込みましょう。
まず押さえたい:良いプロンプトの基本構成
プロンプトは、短いキーワードの寄せ集めよりも、「何を、どんな状態で、どんな画面にするか」が分かる構成にすると安定しやすくなります。
- 主役:誰・何を描くか
- 見た目:年齢層、髪型、服装、色、素材、表情など
- 動き・ポーズ:立つ、走る、振り返る、読書するなど
- 場所・背景:カフェ、森、近未来都市、白背景など
- 構図:全身、バストアップ、正面、横顔、俯瞰、余白の位置など
- 光・色・空気感:朝日、逆光、やわらかい光、青系、静か、幻想的など
- 画風・表現:アニメ調、水彩、油彩、写真風、3D風など
- 出力条件:縦長・横長・正方形、文字を入れない、背景をシンプルにするなど
たとえば「猫の絵」だけでは情報が少なすぎます。次のように、重要な情報を順に足していきます。
例:窓辺に座る白い長毛の猫、横顔、雨上がりの夕方、室内から見た構図、窓の外にぼんやりした街の灯り、やわらかな青紫の光、繊細なデジタルイラスト、縦長
要素の優先順位は「絶対に譲れない条件」から決める
画像生成AIは、すべての指示を完全に同じ強さで守るとは限りません。まずは「これが崩れたら失敗」という条件を先に明確にします。
| 優先度 | 入れる内容 | 例 |
|---|---|---|
| 最優先 | 主役・人数・用途 | 20代の女性1人、商品パッケージ用、猫2匹 |
| 高 | 構図・視点・向き | 全身、正面、右を向く、上半身、俯瞰 |
| 中 | 服装・背景・小物 | 白いジャケット、駅のホーム、赤い傘 |
| 調整用 | 光・色・画風・質感 | 夕暮れ、淡い配色、水彩風、紙の質感 |
特に人物イラストでは、人数、性別・年齢層、画角、顔の向き、ポーズを早めに決めるのがおすすめです。「美しい」「高品質」だけでは具体性が低いため、どのような美しさかを色、光、表情、素材感などに分解して指定します。
そのまま使えるプロンプトの型
迷ったときは、以下の型に当てはめてください。
[主役]、[見た目]、[動き・表情]、[場所]、[構図・視点]、[光・色・雰囲気]、[画風・質感]、[比率や除外条件]
人物イラストの例
若い女性の魔法使い、短い銀髪と深緑のマント、古い本を両手で開いて微笑んでいる、夜の図書館、上半身を正面から見た構図、暖炉のオレンジ色の光と青い月明かり、幻想的で繊細なアニメ風イラスト、文字なし、縦長
商品イメージの例
透明なガラス製のスキンケアボトル、白い石の台座の上、背景は淡いベージュ、斜め上から見たクローズアップ、やわらかな自然光、上品でミニマルな広告写真風、ラベルの文字なし、正方形
SNS用の背景素材の例
春の朝の公園、満開の桜並木と小道、人物なし、画面中央に文字を置ける広い余白、淡いピンクと水色、やさしく明るい水彩イラスト、横長
日本語と英語はどちらで書くべき?
まずは、普段使っているサービスが日本語入力に対応しているなら、日本語で具体的に書いて問題ありません。ただし、モデルや機能によっては英語のほうが細かな画風・撮影用語・素材感を指定しやすい場合があります。
おすすめは、最初は自分が正確に説明できる言語で書き、狙いが伝わりにくい部分だけ英語の定番表現を試す方法です。たとえば「back view(後ろ姿)」「close-up(接写)」「soft lighting(やわらかい光)」「watercolor illustration(水彩イラスト)」のような短い表現は追加しやすいでしょう。
ただし、同じ意味の日本語と英語を大量に並べたり、相反する指示を混ぜたりするのは避けてください。たとえば「昼の明るい屋外」と「暗い夜景」を同時に指定すると、結果が不安定になりやすくなります。
ネガティブプロンプトは「失敗した部分」だけに使う
ネガティブプロンプトとは、画像に含めたくない要素を指定する機能です。対応している画像生成AIでは、不要な要素や繰り返し起きる崩れを減らす助けになります。
ただし、すべてのサービスに専用欄があるわけではありません。専用のネガティブプロンプトに対応していない場合は、通常の指示文で「人物なし」「文字なし」「背景はシンプル」のように肯定的かつ明確に書くほうが扱いやすいことがあります。
ネガティブプロンプトの例
- 文字、ロゴ、透かし
- 余分な人物、複数の顔
- 手や指の崩れ、不自然な手足
- ぼやけ、低解像度、強すぎるノイズ
- 切れた頭、画面外に切れた手足
- 不要な小物、雑然とした背景
例:文字、ロゴ、透かし、余分な人物、不自然な指、ぼやけ、低解像度、切れた手足
コツは、最初から長大な禁止リストを作らないことです。まず生成し、実際に出た問題だけを3〜8項目ほど追加します。ネガティブプロンプトを増やしすぎると、画面が不自然になったり、必要な要素まで消えたりすることがあります。
期待どおりにならないときの改善手順
- 主役と構図だけで生成する
最初から服装、背景、小物、画風を詰め込みすぎず、「誰を、どの画角で描くか」を固めます。 - 背景と光を追加する
主役が安定してから、場所、時間帯、光、配色を加えます。 - 画風は最後に調整する
画風を変えると人物の顔や衣装まで大きく変わることがあるため、構図が決まってから試します。 - 一度に直すのは1〜2項目だけにする
「顔だけ変えたい」のに背景、色、ポーズまで変更すると、何が効いたのか分からなくなります。 - 設定も確認する
縦横比、写真・イラストの種類、スタイル、参照画像、シード値など、テキスト以外の設定が結果に大きく影響する場合があります。
参照画像を使えるなら、文章だけで再現しようとしない
理想の構図や色、世界観がはっきりしている場合は、対応サービスで参照画像を使うと効率的です。構図用の画像、画風用の画像、キャラクターの特徴を保つための画像を分けて使えるツールもあります。
ただし、参照画像を使っても、変えたい部分は文章で補足しましょう。たとえば「この構図を維持し、人物の服だけ白いコートに変更」「この色合いを参考にしつつ、背景は海辺に変更」のように書くと、修正目的が明確になります。
プロンプト作成でよくある失敗
- 抽象語だけで終わる:『おしゃれ』『エモい』『高品質』だけでなく、光、配色、構図、素材感に言い換えます。
- 矛盾した指示を入れる:『全身の接写』『白背景の街中』のような衝突をなくします。
- 主役が複数で関係が曖昧:人数、位置、向き、誰が何をしているかを明記します。
- 文字を画像内で正確に出そうとする:文字が重要なデザインは、画像生成後にデザインツールで文字を入れるほうが確実です。
- 毎回ゼロから書き直す:うまくいったプロンプトを保存し、背景・服装・色だけ差し替えるテンプレートとして使います。
まとめ:理想の画像は「文章力」より分解力で近づける
AI画像生成のプロンプトでは、長文を書くことよりも、イメージを主役、構図、背景、光、画風に分解することが重要です。
- 最初に「誰・何を、どの構図で描くか」を決める
- 次に背景、光、色、画風を足す
- ネガティブプロンプトは、実際に出た不要な要素の除外に使う
- うまくいかないときは、一度に直す項目を絞る
- 構図や画風に強いこだわりがあるなら、参照画像も活用する
まずは上の「プロンプトの型」を使い、1回生成するごとに課題を一つだけ修正してみてください。試行回数を重ねるほど、自分が使う画像生成AIで通じやすい言葉や設定が見えてきます。
参考資料
- Adobe Firefly:効果的なテキストプロンプトの書き方—主題、説明語、雰囲気などを具体的に書く考え方。
- Adobe Firefly:テキスト説明から画像を生成する方法—比率、コンテンツタイプ、構図・スタイル参照などの設定項目。
- Stability AI Developer Platform:API Reference—ネガティブプロンプト、比率、シード値などの生成パラメータ。
