AI時代にGoogleは何を目指しているのか
この記事では、2025年5月に開催された開発者向けイベント「Google I/O 2025」の最新発表を基に、Googleが描く未来図を分かりやすく解説します。
目次
1. 「自分で調べる」から「AIがやってくれる」時代へ
これまでのGoogleは、知りたいことを検索窓に入力し、表示されたウェブサイトを自分で読んで情報を探すスタイルでした。しかし、これからのGoogleはもっと能動的になります。
面倒な作業を代行する「エージェント機能」
Googleが特に力を入れているのが、「Agent Mode(エージェントモード)」と呼ばれる機能です。これは、AIがチャットボットとして答えるだけでなく、実際にウェブサイトを操作してタスクをこなしてくれる機能です。

例えば、引っ越し先の物件を探す場合、これまでは不動産サイトで条件を細かく設定して、一つひとつ物件を見て回る必要がありました。しかし、新しいAI(Gemini)を使えば、以下のように変わります。
- 指示するだけ:
「家賃〇〇ドル以下で、ペット可、駅から徒歩10分以内のアパートを探して」と伝える。 - AIが代行:
AIが不動産サイト(Zillowなど)にアクセスし、条件に合う物件を検索・フィルタリングする。 - 予約も可能:
気に入った物件があれば、見学予約の手続きまでサポートしてくれる。
このように、Googleは「検索の手間」をなくし、ユーザーの時間を節約することを目指しています。
2. 距離と言葉の壁を超える「リアルなつながり」
Googleが目指しているもう一つの未来は、物理的に離れていても、まるで目の前にいるかのようなコミュニケーションを実現することです。
3Dホログラムで会話する「Google Beam」
ビデオ通話は便利ですが、画面越しだとどうしても距離を感じてしまいます。
そこで発表されたのが「Google Beam」(旧 Project Starline)です。

これは、複数のカメラとAIを使って、相手の姿をリアルタイムに3Dホログラム化する技術です。専用のディスプレイを通すと、相手がまるで同じ部屋のすぐそこに座っているかのように立体的に見え、自然に目が合います。ビジネスの会議だけでなく、遠く離れた家族との会話も、より温かみのあるものに変わるでしょう。
言葉の壁をなくす「リアルタイム翻訳」
オンライン会議ツール「Google Meet」も進化しています。
新しい翻訳機能では、単に言葉を翻訳するだけでなく、話している人の声色やトーン、表情を維持したまま他言語に翻訳されます。
これにより、言語が異なる人同士でも、感情のニュアンスまで含めてスムーズに意思疎通ができる世界を目指しています。
3. 誰でもクリエイターになれる世界
「動画を作りたい」「絵を描きたい」と思っても、専門的なスキルがないと難しいのが現状でした。GoogleはこのハードルをAIで極限まで下げようとしています。
- 動画生成(Veo 3):頭の中にあるイメージを伝えるだけで、高品質な動画を生成します。
- 画像生成(Imagen 4):よりリアルで思い通りの画像を瞬時に作成します。
- 映画制作ツール(Flow):短い動画クリップから、長いシーンを展開させることも可能です。
これらのツールにより、誰もが自分のアイデアを形にできる「一億総クリエイター時代」を後押ししようとしています。
4. これらを支える「圧倒的なインフラ」
こうした便利な機能を実現するためには、膨大な計算能力が必要です。Googleは自社で「TPU(Tensor Processing Unit)」というAI専用のチップを開発しており、今回発表された第7世代では、前世代に比べて10倍のパフォーマンスを実現しています。
専門的な話になりますが、この強力なインフラがあるからこそ、私たちはスマホやPCで、賢いAIをストレスなく、安価に利用できるようになるのです。
まとめ:Googleは「黒子」として生活を支える存在へ
Googleが目指している未来を整理すると、以下のようになります。
| これまでのGoogle | これからのGoogle |
|---|---|
| 情報を検索して提示する | 目的達成のために行動を代行する |
| 画面越しのビデオ通話 | 3Dホログラムでのリアルな対面体験 |
| ツールを提供する | 創造性を拡張するパートナーになる |
Googleは、テクノロジーが前面に出るのではなく、あくまで人間の「やりたいこと」をサポートする黒子のような存在を目指していると言えます。
AIが勝手に何かをするのではないかと不安になる必要はありません。むしろ、面倒な作業はAIに任せて、人間は「人との対話」や「創造的な活動」に集中できる。そんな未来をGoogleは作ろうとしているのです。
