検索結果の上位表示を目指している方は、常に検索順位を注視していると思います。
「上位表示されていたのに、いつの間にか順位が下がっている…」
「検索結果に表示されていたページがいきなり圏外に飛ばされてしまった…」
ということもあるのではないでしょうか。
それは『Googleコアアップデート』が原因かもしれません。
せっかくSEO対策に力を入れて上位表示できても、Googleのコアアップデートによってその努力が水の泡になることもあります。
この記事では、Googleコアアップデートのこれまでの歴史や、コアアップデートへの対策方法について解説します。
目次
Googleコアアップデートとは?
Googleコアアップデートは、Googleが検索アルゴリズムを見直し、検索結果を大きく改善するためにおこなわれるものです。これは「信頼性の高いサイトをユーザーに提供する」という、Googleが常に掲げている使命をもとに実施されます。
コアアップデートは、年に2回~4回程度おこなわれており、実施前にはGoogleの公式アカウントが告知を出します。
コアアップデートがおこなわれた後は、検索順位が大きく下落したり、反対に上昇したりという動きが見られ、その動きは1週間~2週間程度継続することが多いです。
順位が大きく下落したと思ったら、1週間後には元の位置に戻っていた、ということもよくある話です。そのため、順位が下がったからとすぐに対策をするとかえって逆効果になってしまうこともあります。
コアアップデートの場合、2週間くらいはGoogleの調整が入るんだ、と割り切って静観しておきましょう。
直近のGoogleコアアップデート
2022年7月現在で、直近のコアアップデートは2022年5月26日に実施された「May 2022 Core Update」です。このアップデートが、2022年で初のアップデートでした。
訳:本日、年に数回行うように、幅広いコアアップデートをリリースします。この更新は、2022年5月のコア更新と呼ばれます。
ブログでも、コアアップデートについて周知されています。
https://developers.google.com/search/blog/2022/05/may-2022-core-update
5月26日のコアアップデートでは、Googleが使命としている「信頼性のある情報をユーザーに届けること」という指標に基づいてアップデートがおこなわれたようです。
サイト運営者の情報の信頼性、被リンクなど、Googleが重要視している部分を評価され順位が変動しました。
これによって、個人が運営しているサイトは順位の下落が多く見られたようです。
Googleコアアップデートの歴史
2011年から始まったGoogleのコアアップデートは、ほぼ毎年大きなアップデートを繰り返し、その度にWeb業界には激震が走っています。
これまで特に大きなアルゴリズム変更があったのが「パンダアップデート」「ペンギンアップデート」「医療健康アップデート」でしょう。
これらのアップデートが実施された際には、検索順位が大きく入れ替わり、サイト運営者や一部の企業にとっては大きな損失になりました。
Googleは常に”ユーザーの利便性”を考慮してアップデートをおこなっています。ユーザーの不利益になり得るようなサイトは淘汰されてきているのが現状です。
それではここからはGoogleコアアップデートの歴史について簡単にご紹介します。
2011年2月:パンダアップデート
2011年におこなわれたパンダアップデートは「コンテンツの質」に焦点を当てたコアアップデートです。
それまで上位表示されていた「低品質なサイト」の検索順位を大きく下落、もしくは圏外に飛ばしました。
「低品質なサイト(ページ)」は主に以下のようなものです。
- 他サイトのコピーコンテンツ
- ツールなどで自動生成されたコンテンツ
- 不適切な広告を配置したコンテンツ
このような、ユーザーが価値を感じない、ユーザーに不利益をもたらす可能性のあるコンテンツは排除され、質の高いコンテンツが上位表示されるようになりました。
2012年4月:ペンギンアップデート
2012年におこなわれたペンギンアップデートは「外部リンク」に焦点を当てたアップデートです。いわゆる「被リンク」と呼ばれるものです。
以前は被リンクが多ければ多いほどSEOで評価され上位表示されていましたが、ペンギンアップデートでは、ただ被リンクの数が多いだけのサイトが淘汰されました。
というのも、ペンギンアップデート以前は被リンクの数を増やすために低品質なサテライトサイトを作ったり、被リンクを有料で購入したりと悪質な手法が横行していました。
こういった手法は”ブラックハットSEO”と言われ、ブラックな手法であることからGoogleからペナルティを受け、検索結果にすら表示されない、ということも起こります。低品質なサイトであると認識され、ユーザーの信頼も失ってしまうため、この手法は絶対におこなわないようにしましょう。
【ブラックハットSEOについては下記の記事をご覧ください。】
https://office-masui.com/about-blackhat
現在のSEOにおいては、被リンクの数だけでなく「被リンクの質」も重要視され、信頼性の高いサイトが上位表示されるようアルゴリズムが調整されています。
【質のいい被リンクについては下記の記事をご覧ください。】
https://office-masui.com/external-link/
2014年8月:HTTPSをランキングシグナルに使用することを発表
2014年には、インターネット利用者のセキュリティ対策を強化するため「HTTPSをランキングシグナルに使用することを発表」しました。
これは、従来のhttpではSSL(データを暗号化する仕組み)が適用されておらず、ユーザーのセキュリティが担保されないという理由から、httpsというSSL化されたURLを使用するよう、サイト運営者に求めたものです。
そして「HTTPSをランキングシグナルに使用する」ということは、HTTPSで提供されているページは、そうでないページよりもSEOの評価が高くなることを示しています。
ユーザーが不安なくサイトに訪れることができるようにとGoogleが2014年に定めた指標です。
2014年12月:ベニスアップデート
2014年のベニスアップデートでは、ユーザーの位置情報を検索結果に反映させるアルゴリズムが追加されました。
「カフェ」や「美容院」「歯医者」などのキーワードを打ち込むと、位置情報に応じて検索結果を調整します。
例えば大阪で「カフェ」と調べれば大阪のカフェが表示され、京都で「美容院」と調べれば京都の美容院が表示される、というように地域名を入れずとも位置情報で判断され、ユーザーに合った検索結果が表示されるよう、アルゴリズムが変更されました。
2015年4月:モバイルフレンドリーアップデート
2015年には「スマホの視認性、操作性が高いサイト」に焦点を当てたモバイルフレンドリーアップデートがおこなわれました。
2012年ごろからスマホが普及し、検索ユーザーもスマホユーザーが激増しました。その背景から、Googleでもスマホユーザーへの対策としてこのようなアップデートを実施したのです。
Googleが提唱しているモバイルフレンドリーの条件とは以下のようなものです。
- タップやズームなどをしなくてもテキストが読みやすい
- タップ ターゲットの間隔が適切
- 再生できないコンテンツが含まれていない
- 横方向へのスクロールが発生しない
今では当たり前になっている”レスポンシブデザイン”(閲覧ユーザーの画面サイズに合わせてページレイアウトを最適化するデザイン)ですが、この頃はまだスマホ対応されていないサイトも多くありました。
今はパソコン・タブレット・スマホなど様々なデバイスがあり、サイズもそれぞれ違うため、レスポンシブデザインが必須になっています。
自社サイトがモバイルフレンドリーになっているかどうかは、モバイルフレンドリーテストで確認できます。
2017年12月:医療健康アップデート
2017年には「医療や健康に関連する情報の精査」を目的としたアップデートがおこなわれました。
Googleのコアアップデートは、通常世界的におこなわれていますが、医療健康アップデートに関しては日本でのみおこなわれるという、異例のアップデートでした。
日本では医療や健康など人の命に関わる情報において、医学的根拠のない情報が上位表示される現象がありました。
このままでは人命に関わると懸念されるサイトも多数あったため、医療健康アップデートにより、医療関係者や病院などの公的機関が発信している情報が上位に表示されるようにアルゴリズムが変更されたのです。
そして医療健康アップデートに伴って、YMYL(「Your Money or Your Life」の略)領域であるお金や生活に関わるキーワードでもEATと言われる”専門性・権威性・信頼性”が求められるようになりました。
【「YMYL」について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。】
https://office-masui.com/about-ymyl
【「EAT」について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。】
https://office-masui.com/about-eat
2018年7月:スピードアップデート
2018年におこなわれたスピードアップデートは「モバイルページの表示速度」に焦点を当てたアップデートです。
モバイルページの表示速度が極端に遅い場合、検索順位に影響が出ます。
以前からパソコンでのサイト表示(デスクトップ表示)に関してはアルゴリズムに加えていましたが、モバイルが普及してきたため、スピードアップデートによってモバイルページの表示速度に関するアルゴリズムが追加されました。
ただし、この影響を受けるクエリはわずかであるとされており、極端にスピードが遅くなければ、コンテンツの質や検索意図との関連性が重視されるでしょう。
ページスピードはPageSpeed Insightsで確かめることができます。
2020年5月:Core Web Vitals(コアウェブバイタル)を発表
Core Web Vitals(コアウェブバイタル)とは、Webサイトの健全性を示す指標です。
コアウェブバイタルという、Googleの指標によってユーザーの体験価値を上げようという取り組みを指します。
コアウェブバイタルの土台は3つの指標で形成されています。
- LCP(Largest Contentful Paint ):表示速度
- FID(First Input Delay ):ユーザーの応答性
- CLS(Cumulative Layout Shift ):視覚の安定性
LCPは、サイトが表示される時間です。これが速いほどユーザーの体験価値は上がります。
そしてFIDはユーザーがアクション(クリックやダウンロード等)を起こしてからの応答時間です。
CLSは予期しないレイアウトのずれを定量化したものです。
これらの指標に注視することで、サイトに訪れたユーザーの体験価値が上がるため、SEOの指標にコアウェブバイタルが組み込まれました。
Googleコアアップデートの確認方法
GoogleコアアップデートはGoogleの公式Twitterで告知されます。
訳:本日遅く、年に数回行うように、幅広いコアアルゴリズムの更新をリリースします。これは2020年5月のコアアップデートと呼ばれます。このような更新に関するガイダンスは、以前に説明したとおりです。詳細については、このブログ投稿を参照してください。
また、Google検索セントラルというブログで告知やコアアップデートの内容について詳しく発表しているので、こちらもブックマークしておくと便利です。
Googleコアアップデートに必要な対策
Googleコアアップデートによって検索順位は大きく変わります。順位が上がるか下がるかはGoogleのみぞ知るのです。
しかし”コアアップデートに強いコンテンツ”を作っておくことで、アップデートの影響を最小限に抑えることはできます。
これはGoogleのコアアップデート対策だけでなく、ユーザーの利便性や信頼性にも直結するため、サイト運営者すべてが必要とする対策です。
コンテンツの質を高める
Googleは、Googleの検索結果において「質の高いコンテンツ」がユーザーに表示されることを目指しています。
コンテンツの品質については、Googleが23個の質問を用意しています。
これらの質問を自問自答し、ユーザーの望んでいるものをコンテンツで提供できているか、という指標でコンテンツを作成するとよいでしょう。
Googleはユーザーの利便性を高めるためのコンテンツを上位表示します。ということは、常にユーザー目線でコンテンツを作成すれば「質の高いコンテンツ」になり得るということです。
専門家が書いている記事は安心でき、公的機関から被リンクをもらっているサイトは信頼できます。自分が知らなかった情報が分かりやすくまとめられているサイトは友人に勧めたくなるかもしれません。
常にユーザー目線でコンテンツを作成することで、ユーザーに役立つ、満足度の高いコンテンツができあがります。
専門性を担保する
専門性は、Googleの評価基準の1つであるEATにもあるように、指標として非常に重要です。特にYMYLに分類されるジャンルにおいてはより重視されるでしょう。
医療情報や健康に関する情報はとくに、専門性がカギを握ります。一般人が書いた記事は検索結果に表示されず、検索上位は病院などの医療機関、薬剤師や医師が運営するサイト、公的機関などのサイトで埋め尽くされています。
また、他のジャンルにおいても、一般人がネットで得た情報をまとめただけのサイトよりも、そのジャンルの専門家が正しい情報を発信しているサイトの方がユーザーにとって有益であると判断され、SEOにおいて優遇されます。
2022年5月のコアアップデートでも、著者情報が記載されていない、または著者情報が不十分なサイトは順位が下がったという話がよく見られました。
この記事は誰が書いたのか、という情報だけでなく、著者にどのような資格や経歴があるのか、どの程度の専門性を持っているのかも記載しておくことで、評価が上がる可能性があります。
【著者情報についてはこちらの記事を参考にしてください。】
https://office-masui.com/blog_author
サイトの「土台」を強固なものにする
コンテンツの質については前述しましたが、それだけで上位表示することは難しいです。
コアアップデートに強いサイトを作るためには、コンテンツの質だけでなく、テクニカルな部分にも気を配り、サイト自体を強固な土台として作り上げておくことが大切です。
具体的には
- コアウェブバイタル(Webサイトの健全性を示す指標)でユーザーの体験価値を上げること
- モバイルフレンドリーであること
- セキュリティ対策がされていること(HTTPSで提供されている)
などが挙げられます。
これらすべて、過去のコアアップデートやランキングシグナルの変更点として、サイト運営者に知らされています。
つまり、Googleがランキングシグナルに利用すると発表していることや、過去のアップデートで焦点を当てられている部分においては、サイトの土台を強固にするために重要な指標です。
今一度、自社のサイトを見直してみましょう。
まとめ
Googleのコアアップデートは避けることはできず、年に数回実施されているため、影響を受けることがほとんどです。
過去のコアアップデートの事例から見ても分かるように、ユーザーの不利益になるサイト、ブラックな手法を使ったサイトは特に影響を受けやすくなります。
また、YMYL領域のように人の命や健康に関わる発信においては、これまで以上にEAT(信頼性・権威性・専門性)が重要になってくるでしょう。
コンテンツの質を上げることはもちろん、ユーザーが使いやすく、体験価値が高い、信頼性のあるサイト作りを心がけましょう。
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